紅茶と水の話

おいしい水で作ったら紅茶もおいしくなるはず!と思ってミネラルウォーターを使っていませんか?今回は紅茶と水のお話です。

私たちが日々何気なく飲んでいる水道水。地域によって差はありますが、日本の水道水は軟水の場合が多いです。カルシウムやマグネシウムの含有量が少ない軟水はクセが少ないため、和食など素材の味を楽しむ料理に適していると言われていますが、それは紅茶にとっても同じなんです。軟水で淹れると口当たりが柔らかくて飲みやすく、水色も茶葉本来の美しい紅色が出やすくなります。言い換えると茶葉の品質がストレートに出るので、質のよくない茶葉だとエグ味も出やすくなります。

硬水はそのまま飲むと美味しく感じられたりしますが、素材の味を引き出すという意味ではあまり適していません。渋みが少なくなるので飲みやすくなるという面はありますが、香りも弱くなり水色も暗くなる傾向があります。ミネラルウォーターは硬水のものが多いので、もしご利用になる場合は硬度をチェックしてみてくださいね。

では軟水と硬水はどのようにして決まるのかというと、水の「硬度」で決まります。硬度とは「水1リットルに含まれるカルシウムとマグネシウムの量(mg/リットル)」のこと。WHO(世界保健機関)の基準では、硬度60未満が軟水、60以上120未満が中程度の軟水、120以上180未満が硬水、それ以上が非常な硬水となっています。日本の基準は異なっていて、硬度100までが軟水、300までが中硬水、それ以上が硬水となります。

日本の水道水基準は300以下になっていますが、それ以上になると石鹸の泡立ちが悪くなるそうです。また美味しさの面から10〜100を水質管理目標として設定されています。河川水より地下水の方が硬度は高い傾向がありますが、日本は国土が狭いため地下水も地層に留まる時間が短く、海外に比べると硬度は低くなります。(ただし温泉水や海洋深層水は硬度が高いです)

ちなみに紅茶大国といえばイギリスが有名ですが、ロンドンの水が主に硬水なので、硬水用にブレンドした茶葉が売られていたりします。日本は水道から軟水が出るという、美味しい紅茶を楽しむのに適した国。もっと紅茶を楽しむ方が増えればと思います。