農家から見た有機JASの課題

最近は加工品だけでなく野菜にも有機JASマークのついたものが見られるようになりましたが、実際に自分が農家になって有機JASに取り組む中で感じたことについてお話したいと思います。

にのらく茶園は開園当初から有機JAS認証を取得していますが、有機JASのマークが無いものはオーガニックでない、なんてことはありません。認証無しでもまじめに有機農業に取り組んでおられる農家さんはたくさんおられます。そのような農家さんが有機JAS認証を取得しない理由はいくつかありますが、そのうちの一つが費用の問題。

農家から見た有機JASの課題

審査を行う団体に支払う費用は様々ですが、数十万円になる場合も多く、しかも審査は毎年行われるので、費用も毎年かかります。たとえば30万円の費用がかかるとすれば、3,000個の作物を100円ずつ値上げしなければなりません。幸い愛媛県にはNPOの認証団体さんがあり、にのらく茶園もそちらで審査していただているのでまだ助かっていますが、費用の問題は有機JAS認証制度の課題になっています。

また認証を取得するときはたくさんの資料を作る必要があり、取得後も毎日の畑作業や加工作業をしっかりと記録に残していかなければなりません。有機農業はとにかく手間と時間がかかる世界。それに加えて煩雑な事務作業をこなすことは農家さんの負担の一つになっています。

もう一つが、加工の道具ひとつ新しくするにも事前の資料提出と承認が必要であること。急ぎで新しいことをしたいと思っても、申請と承認で1週間以上かかるということもあり、正直面倒に思うこともあります。ただそれが有機JASの信頼感につながっていますし、私たちは新米農家なので外部の方にチェックしていただくことが自分たちの安心にもつながっていると感じています。

有機JASマークが無くても、真面目な農家さんはどのように作られているかをきちんと説明してくれます。ぜひ農家さんとお話していただき、安心してお買い物をしてもらえればと願っています。