土から始まるお茶づくり

紅茶や緑茶のもとになるチャノキは、野菜のように植えた年に収穫できるわけではありません。苗を植えてから収穫するまで、早くても3〜4年はかかります。その間はひたすら雑草を取り除き、病気や害虫、イノシシ等からチャノキを守り続けます。丁寧に気持ちを込めて手入れしていても、元気な苗もあれば枯れてしまうものもあります。

チャノキが大きく育つ要素としてとても大きなものが土。他の作物でも同じですね。いい土をつくるため、農薬を使わずできるだけ自然な形で畑作業をしています。

農薬には害虫を駆除する「殺虫剤」、植物の開花や成熟を促進する「植物成長調整剤」、雑草を枯らす「除草剤」など色々な種類があります。これは農業の中での困りごとをそのまま表しています。

虫が付いて作物が傷む、、、
収穫期になってもうまく育たない、、、
雑草は無限に生えてきて、取っても取ってもきりがない、、、

特に夏になると雑草たちが一気に元気になり、放っておくと自分の背丈を超えてしまいます。にのらく茶園は有機農業をしているので農薬は一切使わず、手取りと草刈機で草取りをしていますが茶園全体の草取りが終わる頃にはいつもヘロヘロ。しかし数日もするうちに新たな草が、、、涼しくなるまでこの繰り返しです。

雑草

「雑草を根っこから引き抜けば次に生えにくくなる」という考えもありますが、にのらく茶園では抜かずに地面辺りを鎌で刈って、あえて根っこを残すようにしています。そうするとまた草が生えてくるのですが、代わりに土の水分が保たれたり土が流れていくのを防いでくれたりします。草の取り方は農家さんによって多種多様で、その人の農業観が表れるなと感じています。

チャノキが珍しいのは、酸性の土壌でよく育つということ。他にはブルーベリーなどもそうですが、植物では珍しいです。先日土壌検査をしたとき、もう少し土を酸性にする必要があることが分かったので「ピートモス」にチャレンジしました。ピートモスとはコケやアシ、ヨシといった植物が堆積・腐食化したものを乾燥させたもので、保水性や通気性に優れています。また今回のように土を酸性にするのにも使われます。最初はカラカラに乾燥していますが、水を加えて混ぜるとモコモコと膨れ上がります。それをチャノキの株元に使っていきました。

農業の基本である土づくりは奥が深く、まだまだやることはたくさんあります。もっと勉強して良いお茶作りにつなげたいと思います。